2020年07月15日 16:21 ?兼近「(りんたろー。の)ダサさがすげえと思ってコンビを組んだ」(てれびのスキマ), QJWeb公式ツイッター RT数ベスト5記事を紹介!<今週のおすすめ記事>11/06~11/12, 平子祐希「家庭の柱になるためには、夢であった芸能を捨てて構わないや」真剣愛妻『今日も嫁を口説こうか』, 信頼関係があればこそ。オードリー&カズレーザーはTAIGAに「いないほうがおもしろい」(てれびのスキマ), 岩井秀人「ひきこもり入門」【第4回前編】母が語る、ひきこもりの子供を持った親としての目線, 「すゑひろがりずは完全に予想外でした」<シリーズ大宮セブン#3>「大宮ラクーンよしもと劇場」覚野公一支配人. 受賞発表以前、P+D MAGAZINE編集部では、受賞作品を予想する恒例企画「勝手に座談会」を今回も開催。シナリオライターの五百蔵容さん、作家の菊池良さんをお招きして、芥川賞候補作5作の徹底レビューを行いました。, 果たして、受賞予想は当たっていたのか……? 白熱した座談会の模様をどうぞお楽しみください!, (写真左から) 第163回芥川賞① 候補作予想「黄色い夜」宮内悠介(『すばる』3月号) 第162回芥川賞② 候補作予想「デッドライン」千葉雅也(『新潮』9月号) 第162回芥川賞① 候補作予想「如何様(イカサマ)」高山羽根子(『小説トリッパ―』夏号) 芥川賞の第1回から続いてきた壮大なドラマが完成する、という点で、石原さんを推したい気持ちも大きいです。, トヨキ:なるほど……!(笑)私はやっぱり、これまでの高山さんの作品の集大成的な傑作だと思うので、『首里の馬』が受賞すると予想します。今回も、受賞作の発表がいまから楽しみですね。, 小松左京の『日本沈没』、江戸川乱歩『パノラマ島奇譚』……漫画の原作・題材となった昭和の文学作品を一気に解説します!あなたはどれだけ知っていますか?, 家族や恋人、友人など、さまざまな相手との別れを迎えることも多い春。「別れ」のシーンがあふれる今だからこそ読みたい、「別れがテーマの小説」をご紹介します。, 古川真人『背高泡立草』の受賞が決定した第162回(2019年度下半期)芥川賞。その受賞候補となった5作品を、あらすじとともに徹底レビューします!, 1000以上のショートショート作品を残した日本のSF作家、星新一。数十年前の作品で思い描かれた未来は、一体どのようなものだったのでしょうか。現在の出来事と比較して見てみましょう。, 東京都知事に就任以来、オリンピックの東京開催や、築地の豊洲移転問題など、山積する課題に真正面から立ち向かい、辣腕をふるっている小池百合子氏。そんな小池氏による2つの著作が、電子書籍にて配信開始しました。いずれも、小池氏の人物像がよりくっきりと見えるような、興味深い内容となっています。, 浮気を詳細に綴った石川啄木の日記から、戦時中の暮らしを鮮明に描いた山田風太郎の日記まで。現代作家の味わい深い“日記文学”を、厳選して4作品ご紹介します!, レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(身体上の性別に違和感を持った人)、クエスチョニング(自分の性別や性指向が定まっていない人)といった、性的少数者の総称“LGBTQ”。 そんなLGBTQを描いた文学作品を紹介します。, 幽霊や妖怪が登場する王道のホラー小説とはひと味違う、「人間」の恐ろしさに焦点を当てたサイコホラー小説も恐ろしいものです。人間の狂気が感じられる、選りすぐりの現代ホラー小説を4作品ご紹介します。, 山下澄人『しんせかい』の受賞が決定した第156回芥川賞。その受賞候補となった5作品をあらすじとともに徹底レビューします!, 男性同士の悩ましげな表情や意味深な会話、「友情」と呼ぶにはいささか濃密すぎる間柄から、深い関係を妄想するBL風作品を紹介します。ついついうっとりとしてしまうような、耽美的な表現にあなたもドキドキしてしまうはず。, リアリティのある舞台をエンタテインメントに紡ぎ上げる名手・三浦しをん。作品の舞台は枚挙にいとまがないほどですが、見渡すと「ある特殊な世界で、ひたむきに生きる人たち」というテーマが見えてきます。ひたむきに生きる主人公の姿が胸を打つ作品が多い、三浦しをんのおすすめ作品5選を紹介します。, 近年、ライトノベルを中心に人気を集めるジャンル、「異世界転生」。一部の作品では、誰もが知るあの偉人が現代にやってくる……、という展開も見られます。そんな偉人が現代にやってきた、「偉人転生小説」を紹介します。, 将棋ブームといわれる昨今、文壇きっての愛棋家だった山口瞳が、1970年代前半に大活躍した第一線棋士たちと、涙ぐましいほどの“真剣勝負”を繰り広げた、名著『血涙十番勝負』、『続血涙十番勝負』が2冊揃ってP+D BOOKSより復刊。「小説現代」連載当時の担当編集者だった宮田昭宏氏が、当時の思い出や裏話等を初めて語ります。, SNSなどを中心に若者の間で広まった現代短歌のブームは、ますます勢いを増しています。今回は、2010年代に発表された現代口語短歌の歌集の中から、初谷むい、谷川電話などによる選りすぐりの歌集を4作品ご紹介します。, 2017年1月19日に発表された、第156回直木賞。恩田陸『蜜蜂と遠雷』が見事受賞! 事前に、候補作5作品のあらすじと、その評価ポイントを、文藝評論家の末國善己氏が解説した記事を振り返ってみてください。果たして、予想は当たっていたのでしょうか?, 今なお、「ジュウラニアン」と呼ばれるファンがいる、根強い人気を持つ昭和の作家・久生十蘭。今回は、孤高の作家である久生十蘭の作品群の中から選りすぐりの6作品を紹介します。, 現存最古の物語であるといわれている『竹取物語』は日本最古のSFでもあった?そんな謎だらけの『竹取物語』の魅力に迫ります。, 恋愛小説『マチネの終わりに』や芥川賞受賞作『日蝕』などの代表作を持ち、ジャンル・テーマを横断し続ける小説家、平野啓一郎。その作品の“3つの魅力”をご紹介します。, 2018年11月16日に『熱帯』を発売し、第160回直木賞候補にもノミネートされた森見登美彦。デビューしてから、数々の作品を世に送り出してきました。人気作家の森見登美彦ですが、森見作品をこれまで読んだことがない初心者のために、年代順におすすめの7作を紹介します。, 今村夏子『むらさきのスカートの女』の受賞が決定した第161回(2019年度上半期)芥川賞。その受賞候補となった5作品を、あらすじとともに徹底レビューします!, Facebookページへいいね、Twitterをフォローすることで、P+D MAGAZINEの最新記事をSNSでお届けします。, △ 母子家庭で育った千夏と、千夏の母の友人である芽衣子。ふたりは家族の死をきっかけに、芽衣子の故郷であるブラジルに向かうことになる。, トヨキ:続いて『赤い砂を蹴る』。身内を失った人の心境の描き方であるとか、母子家庭のなかで育った主人公の家族との関わり方などが最初から最後まで非常に誠実に書かれていると感じ、純粋に、とても感動的な作品だと思いました。, 五百蔵:僕はこの作品、ブラジル移民の生活のディテールであるとか、彼らの存在が戦後からの流れのなかでどのように位置づけられているか、というのがよく書かれているなと感じた一方で、どうしてもそれが「よく調べたこと」に留まってしまっているような印象を受けました。そのことが主人公にとってどのような意味をもたらしているのか、というところの書き込みが足りないように感じ、エピソード集のように思えてしまった部分はあるかもしれません。, 菊池:たしかに、没入できるような感覚はやや薄かったです。作品に登場する芽衣子さんというキャラクターは日本でもブラジルでも移民に位置づけられてしまう、宙に浮いた立場にいるんですよね。日本には移民問題がない、と思われている風潮へのある種の問題提起というか、社会問題を炙り出したいという作者の意欲は強く感じました。今回の候補作のなかでは、歴史性や社会性がもっとも前面に出ている一作ではないかと思います。, 五百蔵:移民の人々の現代的な寄る辺なさを描きたかった、というのは非常によく伝わってきます。おそらく構想としては、日本とブラジルそれぞれのローカルな事情をしっかりと書き込むことでその寄る辺なさが浮かび上がってくる、としたかったんじゃないかと。でもそれがただ“ふたつの国の間で宙ぶらりんになっている”ということの描写で止まってしまっているのではないか、と僕は感じました。, 菊池:たしかに、主人公が傍観者に徹してしまっているのはこの作品の弱みかもしれませんね。, 五百蔵:そうですね。……いま話していて思ったのですが、石原さんは劇作家としてこれまで戯曲を書かれてきているんですよね。そういう意味では、あるテーマに関連する複数の歴史的な事象をひとつの舞台のなかで入れ子のようにして描くという、演劇的にはポピュラーな手法を用いているのかもしれないと感じました。僕がいま言った、主人公があらゆるできごとを傍観している物足りなさのようなものは、身体性をもって舞台の上で彫り込まれていくとしたら補填されるな、と……。, トヨキ:たしかに、舞台装置が回転してふたつの場所を行き来するようなイメージで読むととてもしっくりくる作品だと思います。, 菊池:すこしだけ作品の外の話をすると、石原さんは太宰治氏の孫にあたる方ということで注目を集めていますが……。1935年、芥川賞の記念すべき第1回の受賞作が石川達三氏の『蒼氓』という作品だったんですが、これは日本からブラジルに移民しようとする家族たちの姿を描いた話なんです。実は、そのときの候補作には太宰氏の『逆行』も入っていました。『赤い砂を蹴る』に出てくる人物たちは『蒼氓』で出てきた人たちのちょうど孫ぐらいの世代になります。85年の月日が経ち、太宰氏の孫がブラジル移民の姿を描いた作品で候補入りしているのは、非常にドラマティックなものを感じてしまいます。, 出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B083XVGZBR/, 【あらすじ】 筋骨隆々で責任感も強い「私」は、有名私大で充実したキャンパスライフを送っているかのように見えた。しかし、ふたりの女性を巡って、「私」を取り巻く状況は徐々に変化していき……。, トヨキ:では次は、いま挙がった『破局』にいきましょうか。五百蔵さんがおっしゃったように、一人称の小説としての視点のコントロールの仕方には凄まじいものがあると感じました。主人公が世界を見るときの異様なまでの解像度の低さが最初から最後まで続く、というか……。, たとえば序盤に“佐々木の家へ行くには、国道に乗る必要があった。しかし考えてみれば、いつか佐々木から国道と聞かされただけで、本当に国道かどうか確かめたことはなかった。”という文章がありますが、ここで覚えた「ん?」という違和感が、ラストまで一貫して続くんですよね。, 五百蔵:遠野さんは、この主人公の男の局所的すぎる視野や凝り固まった主観を一文一文きっちりと逃さずに書き切っていますよね。読者にはこの男の主観を通じた景色しか見られないのに、主観の先に“本当はそうではない現実”があるということを徐々に想像させるようなつくりになっている。, 人間の主観がいったいどういうものなのかを、手応えのある形であらためて認識させてくれる作品だと感じますし、一人称でしかできない世界の描き方をしていて、僕は非常に感心しました。……これ、あらすじだけを説明しようとすると、「人生イージーモードで生きてきた大学生がフラれて現実を知る話」みたいになってしまうと思うんですけど(笑)。, 菊池:本当だ(笑)。この『破局』というタイトルは、主人公が恋人にフラれること自体はもちろん、彼自身がすべて自分の手の上でコントロールできると思い込んでいた世界が破局するという結末も表していて、すごく巧みですよね。, 五百蔵:そうですね。彼のようなマッチョな精神のあり方が「破局」することがあるとすれば、主人公が自分には決して関与できない社会制度の壁などにぶつかるか、肉体の変化──代表的なもので言えば、老いからくる体の衰えなどを痛感するかのどちらかだと思うんです。この作品では、後者の変化を単にパワーが衰えるという形ではなく、精力的にパートナーについていけなくなる、というようなちょっと違った形で書いていますよね。世界とひとりの人間との関係がどのように往来するかということを、遠野さんは非常に考え抜いて書いている作家なのだと感じました。, トヨキ:なるほど。その読み方もお聞きするといっそう、なんて緻密に設計されている作品だろうと思います。ただ私は、乱暴に言うと、どうしてこんなヤバい主観を延々読まされているんだろうとも思ってしまって……。途中で何度か挿入される主人公の友人たちの言葉や、元恋人である麻衣子が不審者に遭ったエピソードなども、主人公の考え方や人との接し方には最後まで一切影響しないじゃないですか。その変わらなさが巧みに書かれているからこそ、「怖……」と思ってしまいました。, 菊池:そうですね、読んでいて非常に不穏な気持ちになる作品だとは思います。一人称小説として本当に完成度が高いし、主人公のなかでは一応、世界と渡り合うときの彼なりのルールらしきものが設定されているのも怖い。犯罪者は捕まえて裁きを受けるべきだし、本当は肉だけを食べていたいけれどマナーに反するからもやしも食べる、とか(笑)。主人公のなかで一貫した倫理があって、それにはみ出した人に厳しくなる。昨今の「暴走する正義感」に通じるものがあって現代性があると感じました。傲慢な人物ではあるけれど、善良さがないわけではないんです。ただ、僕たちがよく知っている善良さとはちょっとジャンルが違う(笑)。, トヨキ:主人公がベッドの上で仰向けになって祈るシーンがありましたが、交通事故で死ぬ人間がいなくなればいい、働きすぎで心身を壊す人間がいなくなればいい……などと羅列していく彼の、一見すると善良なしぐさのようなものがなにより怖かったです。さまざまな背景を持っている社会問題をまとめて「祈る」行為で解決しようという。, 五百蔵:たぶん、この人物にすこしでも共感できるかどうかがこの作品の最終的な評価を分けるんじゃないか、と思います。僕は、人間には大なり小なり彼のような偏りがあって、この人物はそれをデフォルメしているだけだと感じたので、「こんなやつの話なんて読めるか!」と思ってしまう気持ちもわかりつつ(笑)、読む価値がないとはどうしても思えなかったですね。, 出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B0875ZMQ8N/, 【あらすじ】 こんにちは、ブクログ通信です。 第163回芥川龍之介賞・直木三十五賞(2020年上半期)の候補作が発表されました!受賞作を決める選考会は7月15日に東京・築地の「新喜楽」で行われ、受賞作は同日のうちに発表されます。今回ノミネートされた話題の 7月15日、第163回芥川賞が発表される。小川洋子・奥泉光・川上弘美・島田雅彦・平野啓一郎・堀江敏幸・松浦寿輝・山田詠美・吉田修一の9名の選考委員による本家選考会(午後2時より)にさきがけ、書評家・杉江松恋と語学番組『テレビでドイツ語』出演などでおなじみ、文学を愛するマライ・メントラインが全候補作を読んで徹底討論、受賞作を予想する。ドイツ人のマライに日本で一番有名な純文学の現在はどう映ったのか。, ■第163回芥川賞候補作石川燃「赤い砂を蹴る」(2020年『文學界』6月号/文藝春秋)初岡本学「アウア・エイジ」(2020年『群像』2月号/講談社)初高山羽根子「首里の馬」」(2020年『新潮』3月号/新潮社)3回目遠野遥「破局」(2020年『文藝夏季号』/河出書房新社)初三木三奈「アキちゃん」(2020年『文學界』5月号/文藝春秋)初, 杉江松恋(以下、杉江)今回の芥川・直木両賞予想は、初めての試みとしてマライ・メントラインさんと全候補作について語り合っていきたいと思います。ドイツ人であるマライさんが日本を代表する文学賞をどうご覧になったか、伺うのが楽しみです。よろしくお願いします。, 杉江 芥川賞ですが、私の個人的なお気に入りは「アキちゃん」、受賞は今度こそ高山羽根子で「首里の馬」ではないかと思っています。マライさんはいかがでしたか。, マライ 私は「破局」「アキちゃん」が競るけれど、表現性チャレンジのポテンシャルという面から「破局」がベストかと思います。それは私的なお気に入りで、受賞予想は業界的・政治的力学が絡んでくるでしょうから、正直、私には見えづらい(笑)。候補作全般について言うと、「記録や記憶にまつわる使命感やこだわり」に絡む内容の作品が目立つように感じました。電子化・クラウド化による記録の永続性が謳われる一方、ネット化以前の紙媒体時代の記録がネットに吸い上げられずそこに断絶が生じていたりとか、第二次世界大戦の生き証人がいよいよ人生の最末期を迎えつつあり、そこで語られずに失われる証言の量はいかほどか、といった最近のトピックが、文学的テーマを選択するインスピレーションにつながっているかもしれないと思います。そこで生じる潜在的な不安感や喪失感を現代的な生活感覚に結びつけながらいかに生々しく再構築するか、あるいは補完するか、という点が、結果的に各作品ごとの見せ場を形成していたように感じます。, 杉江 特に記録の改竄(かいざん)についてはここ1年で政治事件でひどい報道が繰り返されたこともあって、社会的に大きな注目が集まっていることは確かですね。その中で正史からは零れ落ちてしまったもの、民間の歴史家がそれを拾い集めるという行為が中心にきている「首里の馬」は、時代性そのものをテーマに据えるという試みの作品だったと思います。, 「首里の馬」あらすじ「沖縄及島嶼資料館」は民俗学者の順さんの私的施設だ。未名子は十代の中ごろから、もう十数年もそこに通って整理の手伝いをしている。家族が亡くなったためひとりで暮らす未名子は、台風の翌朝、大きな生き物が庭にうずくまっているのを発見する。ネットを介した仕事をしている彼女は、遠く離れた場所にいる通信相手に生き物の扱い方を相談するのだが。, 杉江 おもしろいのは集積された沖縄の記録を、ネットを通じて世界中の人々に拡散し、こっそり所持してもらうという手段に語り手が出たところでした。匿名の記録者を増やすというやり方がおもしろく、高山さんらしいなと思いました。, マライ 確かに。ただし小説にした場合、記録・記憶の質というよりも「情」や「思い」が印象に残ってしまう展開になりがちな点は注意が必要かもしれません。というのは、「生きた証を残さねば」的な使命感(自分・他人問わず)を行動の説得力に結びつけようとする印象を受けたからです。それが日本的な「情の文化」なのかな? と思ったりしましたね。, 杉江 ばらばらにされた街を再生するときにはその元になるものが必要だから、ということを主人公が言う場面がありましたね。2019年の『如何様』(朝日新聞出版)は芥川賞候補作にならなかったのですが、戦争から復員してきた人物が本物なのか偽物なのかがわからないという宙吊りの状態が出てきます。不確かな人物が不確かな人物として生きていくという半生記なのですが、記憶の検証はその前作からも引き継いでいる気がします。, マライ なるほど、ちょっとそれは米国ドラマ『ホームランド』ぽくもあり興味深い。主観の不確かさというのは観念SF的なテーマでもありますね。, 杉江 飢饉で消滅した競技に用いられる品種の馬を語り手は飼い始めます。だから「首里の馬」なんですが、消えてしまうかもしれないものとの共存は高山作品に共通するモチーフだと思います。ただ、表面的には主人公が「共闘」を持ちかける相手が世界の紛争地域にいるらしい相手だったりするので、そうした構造が情緒的な政治観を描いたものとして受け止められる可能性はあるかもしれないですね。, マライ まず、おっしゃることに同感です。あと、過去作からの連続性まで読み込むのは、聞けばその大文脈に「ナルホド!」と思うものの、それはやはり業界コア的な作法であって、一般読者に求めるのは厳しい。そこが悩ましいというのはあります。. 3度の飯より物語の構造分析が好き。近著に『サムライブルーの勝利と敗北 サッカーロシアW杯日本代表・全試合戦術完全解析』(星海社新書)。, 菊池 良:作家。近著に、歴代の芥川賞全受賞作を読みレビューした『芥川賞ぜんぶ読む』(宝島社)。小学8年生で『文豪探偵の事件簿』を連載中。, 出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B082PQ6YXS/, 【あらすじ】

沖縄に住む女性・未名子は、沖縄の歴史を記録保存する郷土資料館の手伝いをしながら、オンライン通話で遠くにいる人々と会話をする仕事に従事している。ある日、未名子の家の庭に、一頭の宮古馬が迷い込んでくる。, トヨキ:続いて『首里の馬』。私は高山作品のファンなので、もともと過剰に評価してしまうのですが(笑)、これは高山さんの作品のなかでも最大の傑作だと思いました。彼女の作品には安易にあらすじにまとめることを拒否したくなるような広がりがあると思うのですが、『首里の馬』にも読む前とあとでは世界の景色が変わって見えるような、読書体験を通じてここではないどこかに連れていかれるような感覚を覚えました。, それでいて、これまでの作品のいくつかのように、謎らしきものが謎めいたまま不穏に残される、狐につままれたような後味の悪さのようなものはなく、スッと視界が開けるように物語が終わったことにも感動して。最後の“今まで自分の人生のうち結構な時間をかけて記録した情報、つまり自分の宝物が、ずっと役に立たずに、世界の果てのいくつかの場所でじっとしたまま、古びて劣化し、消え去ってしまうことのほうが、きっとずっとすばらしいことに決まっている”という箇所には、思わず泣いてしまいました。, 五百蔵:僕も、高山さんがこれまで書いてきたもののなかでいちばんよい作品だと思いました。いつものように奇妙なしかけは作中に散りばめられつつ、その突飛さが一切弱点になっていないのはさすがだなと。PCの画面の向こうにいる人にクイズを出題する、という主人公の仕事などはちょっとSF的なんですが、それもただ謎として投げ出されるのではなく、最後まで責任を持って書き込まれているなと。読者に寄りかかっているようなところがなく、書きたいことを書ききれている作品だと感じました。, これまでの作品のように拡散的ではあるけれど、書き手がそれを最初から最後まできちんと統御できている。本当にいろんなことが書いてあるのですが、それらがぜんぶひとつに結びつくような構成になっているのは素晴らしいですね。, トヨキ:そうですね……。作品のなかの世界がどんどん広がっていくにつれて、見晴らしもよくなっていくような感覚がしました。, 菊池:今回の候補作のなかではもっとも“開けている”作品だったと思います。クイズを出題されている人たちの正体がわかってくるくだりなどは、なんだかGoogle Earthの画面をぐるぐると回しているときのような気持ちよさを感じました。今回は三人称で書かれた小説がこの『首里の馬』だけだったこともあり、こういった視野の広い作品はかえって新鮮に映りましたね。, 出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B086FPXSGD/, 【あらすじ】 翻訳(日→独、独→日)・通訳・よろず物書き業。ドイツ最北部、Uボート基地の町キール出身。実家から半日で北欧ミステリの傑作『ヴァランダー警部』シリーズの舞台、イースタに行けるのに気づいたことをきっかけにミステリ業界に入る。ドイツミステリ案内人として紹介されたりするが、自国の身贔屓はしない主義。というか.. (すぎえ・まつこい)ライター、書評家。『週刊新潮』などのほか、WEB媒体でも書評連載多数。落語・講談・浪曲などの演芸にも強い関心がある。主要な著書に、『読みだしたら止まらない! 海外ミステリー マストリード100』『路地裏の迷宮踏査』、体験をもとに書いたルポ『ある日うっかりPTA』など。演芸関係では.. 昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、てれびのスキマによる2020年のテレビ鑑賞記録。 『マツコ会議』 フワちゃんがゲストの後編。フワちゃんにYouTubeを始めるように進言した作家の長崎周成が、「母親よりあたしの人生に貢献してるかもしれない」と紹介されて登場。「お母さ.. 作家・演出家・俳優の岩井秀人は、10代の4年間をひきこもって過ごし、のちに外に出て演劇を始めると、自らの体験をもとに「人生そのもの」を作品にしてきた。 息子・岩井秀人を、母親は当時同じ家の中でどのように見ていたのか。子供たちに声を、手を上げていた夫にどう対していたのか。 ひきこもった子供に親ができる.. 昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、てれびのスキマによる2020年のテレビ鑑賞記録。 『イグナッツ! 高山羽根子『首里の馬』、遠野遥『破局』の2作の受賞が決定した第163回(2020年度上半期)芥川賞。その受賞候補となった5作品の読みどころを、あらすじとともに徹底レビューします!, 2020年7月15日に発表された第163回芥川賞。高山羽根子『首里の馬』、遠野遥『破局』が見事受賞を果たしました。, 『首里の馬』は、沖縄の歴史を記録保存する郷土資料館の手伝いをしている主人公・未名子の家の庭に一頭の宮古馬が迷い込んでくるという、どこか奇妙ながらも胸を打つ物語です。高山羽根子さんは今回が3回目の候補入りで、純文学ファンからは長らく受賞が期待されていました。, 『破局』は、有名私大で充実したキャンパスライフを送る「私」が主人公の物語。一人称の視点を巧みに用い、「私」のどこかいびつな社会観や人間観を通してひとりの人物の世界を描き切った意欲作です。, ————————————————————————————— 第163回芥川龍之介賞の選考委員会が2020年7月15日(水)午後2時より都内にて開催され、下記候補作品の中から 高山羽根子さん の 「首里の馬」 と 遠野遥さん の 「破局」 が授賞作に決まりました。 【第163【芥川賞受賞作】高山羽根子『首里の馬』、遠野遥『破局』はここがスゴイ! | P+D MAGAZINE TOPへ. 芥川龍之介賞 最新情報 第163回芥川賞は高山羽根子さんと遠野遥さんに決定!(2020年上半期) 第163回芥川龍之介賞の選考委員会が2020年7月15日(水)午後2時より都内にて開催され、下記候補作品の中から高山羽根子さんの「首里の馬」と遠野遥さんの「破局」が授賞作に決まりました。 !』 チャラワードメニューを4人のセンスと自由な発想で創作漢字化するという「ネオチャラ漢字クリエイト」。りんたろー。が選んだお題は「コンビ」。「考えれば考えるほどダサく.. QJWeb公式ツイッターのRT数上位記事をランキング形式で紹介。ここでしか読めないインタビュー、タイムリーで熱量の高いコラムなど、必見のカルチャー情報が一気にチェックできます。 今週のおすすめ記事 1位:岡村隆史が語る、相方との30年(2)悩み抜いて辿り着く「なんでも一生懸命やるしかないんです」 2.. アルコ&ピースの平子祐希が、10月28日、初の著書『今日も嫁を口説こうか』(扶桑社)を上梓。愛妻家・平子が本気で恋愛と結婚について綴っている。今この作品を世に放つことになった経緯、そして芸人として特殊な立ち位置を確保しつつあることについて話を聞いた。 これがマイノリティではいけない ――平子さんの愛.. 昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、てれびのスキマによる2020年のテレビ鑑賞記録。 『オドぜひ』 ぺこぱがゲストに来た際、話題に上がった企画「TAIGAナイト」がまさかの実現。カズレーザーにオファーを出したというと「あのカズレーザー?」「連絡しちゃったの? やめてよ.. 作家・演出家・俳優の岩井秀人は、10代の4年間をひきこもって過ごし、のちに外に出て演劇を始めると、自らの体験をもとに「人生そのもの」を作品にしてきた。 なぜ自分があのときひきこもったのか。自身の体験について、自分の目で見たことを、自分の頭で考えたことを語ってきた。そのとき、同じ家にいた家族は何を思っ.. 最近、「大宮セブン」の名をメディアで目にすることが増えてきた。現在予選開催中の『M-1グランプリ2020』では、マヂカルラブリー、GAG、すゑひろがりず、タモンズ、ボーイフレンド(大宮セブンジュニア)と、エントリーした全組が準々決勝に進出している。彼らを育てた「大宮ラクーンよしもと劇場」とはどんな場.. TOP FEATURE 特集記事一覧 第163回芥川賞全候補作徹底討論&受賞予想。マライ「破局」遠野遥イチ推し、杉江「首里の馬」高山羽根子今度こそ。太宰治孫候補作で激論, 第163回芥川賞全候補作徹底討論&受賞予想。マライ「破局」遠野遥イチ推し、杉江「首里の馬」高山羽根子今度こそ。太宰治孫候補作で激論, 太宰治の孫・石原燃の芥川賞候補作を読む。「太宰の孫らしさ」を求めるより、津島佑子へのレクイエムとして味わいたい, 第163回直木賞全候補作徹底討論&受賞予想。本命、馳星周『少年と犬』は7度目の正直か?だが『稚児桜』ビルも夢がある, 「被害者意識が強過ぎるんじゃないの?」と思う心には「悪いおじさん」がいる。自分アラートとしての『持続可能な魂の利用』, 『小さなバイキング ビッケ』の関修一が描く "今、ここ"に生きつづけるビッケたちの姿(PR), 岩井秀人「ひきこもり入門」【第4回後編】母に聞く、ひきこもった子供に親ができること, EXITの本質は「ダサさ」にあり!